その心地良さにまるで緊張の糸が切れたかのように、

キルシュは今まで堪えていた眠気がどっと溢れました。

とうとうキルシュはハルトの傍で、椅子に腰かけたまま寄り添うように眠りました。





「……本当に気持ちよさそうに眠るなあ」


キルシュの頭が冴え始めた頃、彼女の頭上からオルヒデの声が聞こえました。

ぼんやりとしたまま顔をあげてから辺りを見回します。

そして徐々に思考もはっきりとしてきた頃には……


「おはよう」


淡々とした口調でそう呟くハルトの顔が近くにありました。

キルシュは思わず立ち上がりました。

椅子は病室いっぱいに響き渡る位に音を立て、その場に転がりました。