「あたしが作ったんだよ! ハルトに元気になって貰いたくってね。って、具合どう?」
「平気だよ。お陰さまで」


近くにあった椅子に腰かけ、本当は良くない筈ではあるのに、

心の中で“良かった”とキルシュは思わずにはいられませんでした。

それと同時にお粥を作って来て正解だった、と感じずにはいられませんでした。


「ねえ、ハルト」


お粥が残り半分になった所で、キルシュは決意をしたかのように話しかけました。

食べているからなのかそれともただ何時も通りなのか、

ハルトは一切返事をしませんでした、それにお構いなくキルシュは言葉を続けます。


「最悪な事実を知らされても、あたしは泣かないし傷つかないよ?」


“だからと言って、笑顔にもらならないけどね”と続けて言おうとしましたが、

必ずしも最悪な事を知る訳ではないという考えがあってか、

その言葉は唾(つば)と共に飲み込みました。