「キルシュちゃん、もう5分経ったから行って良いよ」


フレズィーの呼ぶ声が聞こえ、男性のその言葉の真意を知る事なくハルトの元へと歩いて行きました。

病室までの通路を歩きながら“もうすぐだ、もうすぐだ”と思うと同時に、

キルシュの心臓も徐々に高鳴りが大きくなりました。

このお粥を食べたハルトはどんな顔をするのだろう。そんな想像をし、

彼女はふっと笑みを浮かべました。そして、キルシュが扉のノブに手をかけた瞬間でした。


「君は何も分かっていないのか? これ以上はあの子を傷つける恐れがあると」


オルヒデのやや厳しい声が聞こえました。

何の事なのかが分からないキルシュは、そのままドアを開けずにその言葉を聞きました。

気付かれないようにそっとそっと、ドアに耳をくっつけて。