狐と兎

「口は出して良いけど、手は出さないでよね?」


キルシュはシューテにそう強く念を押しました。

シューテもただ見守るだけだったようで、当たり前でしょと言わんばかりの表情をしました。


「私が手伝っちゃったら、愛情だって多少は減っちゃうに決まっているわ」


キルシュは“分かっているならそれで良いよ!”と明るく言い、

摘みとってきた薬草を洗いました。しかしその後材料を切るまでは良かったのですが、

その後からの工程が思い出せずにいました。


「まずはちゃんと薬草を茹でなさい? 乾燥している物は細かく刻んでね」


それまで黙って見ていたシューテが初めてキルシュに助言をしました。

キルシュはシューテに言われるがままにその通りに動きました。