狐と兎

「あらあら、それは大変ね」


キルシュの交際相手が熱を出してしまった事を知ったシューテは、

顔には出さない物の心の中では相当驚いている様子でした。


「で、あと……えーっと、なんだっけ。ルウブ草が見付からなかったんだけど」
「そりゃそうよ。あれは確か後2ヶ月位しないと生えない草だから。
だから使うなら去年摘んだ分の物があるからそれを使いなさい」


キルシュは一言“有難う”と呟き、その姿のまま台所へ向かおうとしました。

しかしそれを母親のシューテは許しませんでした。


「待ちなさいキルシュ。大好きな人が大変で、すぐにでも作りたい気持ちは分かるわよ?
でもまずはその泥だらけの格好をなんとかしなさい。汚いまま台所に入るのは私が許さなくてよ?」