狐と兎

「あーあ、怒らせるつもりはなかったんだけどな。ていうか、大声出すなってあれほど言ったのに」
「…………」
「気にしないで。あの子は不器用だし人の被り物をうっかり外してしまう事もあるけれど、
好きになったらきっと一途な所があるから。君も愛されていて、羨ましいよ」


被り物の下りが何なのかという事も気にせずに、

ハルトはその言葉に対して何も考えずに聞いていました。

その時、オルヒデの名前を呼ぶ中年位だと思われる女性の声がしました。


「……おっと、患者さんがやってきたようだ。まだ来ないでほしかったけれど、そうもいかなったか」


来ていた白衣を少し整えてから、オルヒデは女性の元へと向かいました。


「後で君に話す事がある。分かっているよね?」


去り際にハルトに一言告げてから。