少なくともこの事に関しては、 和夫は悪くない。 罪人(つみびと)は、 幼い和夫を傷つけた上、嘘つきだと周りに思わせ、絶望的な状況に追い込んだ、遺影の中の人物である。 マキコは和夫を抱きしめた。 和夫もマキコを抱きしめる。 二人とも泣いていた。 両親はまだ、部屋に入るのを ちゅうちょしている。 2人と両親との距離は、ひどく遠かった。