眠りのなかはいつも穢れのない無垢な暗闇だ。
夢は花火が打ち上げられたように華やかなものだ。

口車と呼ばれる巨大なトロッコに乗っていた。
大勢の人たちが多数のグループに分かれて運命的な別れを演じていた。

隣のおばさんが本当はあっちのトロッコに乗りたかったと涙をふきながら吐露した。
おばさんが指差したトロッコのほうを見るとこっちに向かって中年のおじさんが懸命に手を振っていた。
運命を別にした夫婦か・・俺はそう呟いておばさんの横から立ち去った。

巨大なトロッコはなかなか動き出すことはなかった。
俺は巨大客船のようなトロッコのなかを歩いて回った。

デッキには大勢の人で溢れていて、歩き回るのも困難だった。

俺はいつのまにかエメラルドグリーンのジャケットを羽織っていた。
髪の毛はパーマをあて綿菓子のように膨らんだ髪は赤く染めていた。

「俺はこんな姿で歩き回るのか」と大手を広げると周りにいた人たちが俺の姿を見て笑いだした。
大勢のひとが笑っている顔を見ていると、見知らぬ人に笑ってもらえて「こちらこそ光栄だ」と示し、自分も腹を抱えて笑った。

あんまり笑っていたから、一度夢から笑いながら覚めてしまったが、すぐに眠気にさらわれて、俺は夢の続きを見ていた。