そのとき俺は考えていた。

ヘルメスが俺に仕掛けていたきっかけが何かを!

「確かにあいつは俺に向かってきっかけをかけていた。そのきっかけはすでに発動しているのか?いや、ヘルメスが閃光と消え、ダナエが俺の脇腹をホークで突き刺し、民衆が俺のアパートを襲撃し、七色の影が俺を襲った。その間にあいつが仕掛けたようなきっかけはなかった。どこかに発動していないきっかけがあるはずだ。」と俺は思った。

「そいつを逆発動すればこの窮地から抜け出せるかもしれない!」

その瞬間に光とともにあるべき町の風景へと変わる。

俺は幻想を視覚されていたのか、カラダには感覚がもどり、肉体はダナエが拘束したままベットのうえだった。
しかし部屋には業火が燃え盛りっていた。
シーツにまで炎が燃え移り、身ぐるみにはいっぱいの炎に包まれていた。
カラダが熱くなりだす。

七色の影はその場にはいない。

俺は燃え盛る炎にカラダを焦がし皮膚がめくれるのを感じた。
鏡に俺の姿が見える。シーツは燃え落ち、カラダが窮縮しカラダを縛っていたコードも溶けていた。

鏡のなかには死にゆく俺の姿が映ってはいなかった。

驚くべきことに皮膚が剥がれたその下から閃光が溢れ出し、髪は銀色に逆立っていた。

そこには俺とは見違える逞しき肉体が存在していた。