携帯が鳴った。
時計は4時を回っており、そろそろ陽ののぼるころだった。
俺はポケットから携帯電話を取り出して見ると、メールを受信していた。

俺はメールを確認した。
送信者は俺からだった。

メールには、「アテネが言った。世界の混乱を止めてくれと。俺にはそれができるそうだ。俺は残念だったが、もうひとりのお前にはそれができるそうだ。お前にすべてを託している。」と書いてあった。

俺はダナエに自分の携帯電話を渡しメールを読むように伝えた。
ダナエはこのメールがもうひとりの俺から送られていることを伝え、もうひとりの俺が存在するパラレルワールドの俺の存在は覚醒者であったことを告げた。

どうやら、もうひとりの俺にはダナエの姉であるアテネがそばについているらしい。

「もうひとりの俺は覚醒者といっていたが、どんな力だい？」

俺は自分のことを聞いてみた。

「聡明な人格者。17歳のとき、水に思いのまま色をつける玩具を起業して財を築いたわ。それから、21歳のときにある災害を予告してそれを未然に防いだの。彼は預言者として覚者だったの。」

「そりゃ、俺よりも立派な人生だったことだな。俺ともうひとりの俺は時空をまたいで入れ替わった訳だろ。俺がどんな風に生きてきたのかを知ってびっくりするだろうな。」

「それはね、びっくりするだろうな。お前とは出来が違う。彼はお前みたいに虚を担いで生きる男ではない。彼はお前の人生なかでも立て直すさ。」

「じゃ、その彼はこれから起こることをすでに予知しているのかい？俺にはいつもの朝がやってくるようにしか思えないが、それはお前たちが知っていることなんだろ？」