部屋に案内されるまでがフィリシアにとってものすごく憂鬱だった。


一瞬目が合ったときに感じた自分に対するあの敵意は簡単に忘れられるものではなかった。


長い廊下に二人の足音だけが響く。


沈黙が耐えられず、あの…と話しかけてみるが完全に無視されてしまった。


それにスタスタと歩くアヤトについて行くのでやっとだった。


どれほど歩いただろう。


薄暗く長い廊下の突き当たりまできたと思ったら光の柱の中に入る。


次の瞬間には異なる廊下にいる。


そんなことが何度も続き、フィリシアはすでにへとへとだった。


ようやくアヤトが立ち止まったのは、大きな扉の前だった。


扉には複雑な文字とも絵ともとれるような紋様がビッシリと書いてある。


アヤトが扉の前で何か呟いたかと思えば、扉が音も立てずに開いた。


驚いていると、横目でじろっと睨まれてしまった。


フィリシアはますますビクついてしまった。