「何ビクビクしてるのよ。湖が怖い?」


「…ううん。怖くないよ。」

この少女の灰色の瞳は、まるで霧のように霞んで見える。


それが不思議で、フィリシアは知らず知らずのうちに見つめてしまっていたようだ。


「見すぎだって。」


と笑われてしまい、そのことに気付いた。


とても優しい笑顔で笑うのだな、とフィリシアは思った。