蒼い太陽

「痛い?闇族に傷つけられるなんて…悔しいでしょう?」


そんなフィリシアを見ながら、ミシャはぞくりとするような笑顔を浮かべた。


どれくらい戦いを続けただろう。ミシャもフィリシアも息を切らし、それでも必死に戦っていた。


服も所々切り刻まれ、ボロボロだった。


これ以上戦いを続けることは、フィリシアの体力的に無理がある。


それに、ミシャは剣と魔法を使うのに対しフィリシアは魔法のみで戦っている。


どう考えてもフィリシアの方が不利だった。


…剣、創れるかな。


ふと、フィリシアは未だに試したことのない剣の創造を思いついた。


ミシャやアヤトが持っているような物質から創られた剣ではなく、魔力を物質化して創るにはかなりの体力と魔力を要するが……迷っている暇は無い。


そうしている間にもミシャの雷は容赦なく襲ってくる。


フィリシアは素早く横に跳び雷を避けると、全身の魔力を一気に集中させ腕勢いよく振り、銀色の風をミシャに向かって思い切り放った。


轟々と唸りをあげる風はミシャに避ける間を与えず、命中した。


「ッキャア!!」


ミシャの苦痛に叫ぶ声が辺りに響いた。


ミシャは風に吹き飛ばされ、壁に背中からのめり込むようにして激突した。


その衝撃で壁には痛々しいヒビが入り、ガラガラと音を立てながら崩れ落ちた。


一瞬の静けさが、中庭に漂う。

「終わったの?」


後ろで見ていたダリアが不安そうに誰にともなく尋ねた。


「いや、まだだ。」


そう答えたのはアヤトだった。