翌日、昨日人が落ちてきたところへ行ってみると、小川の周囲には木のくずがたくさん散らばっていた。


上を見上げると、人が一人すっぽり入れるくらいの穴が空いていた。


木の根が腐っていたのだろう。


「あの穴、どうしようね?」

キュイキュイは大きな金色の瞳をぱちくりさせてみせた。


「魔物が降ってきたらどうしよう……」


お客さんが増えるな、なんて思っていた。


洞窟に戻り、いつものように本を読み始めた。


この本は老婆が残していってくれたものだ。


それぞれの一族の歴史や魔術の本などたくさんある。

キュイキュイは洞窟の外で自由にすごしていた。


水の中に潜ってみたり、高くまで飛んでいった後、急降下してきたりと遊んでいた。


しばらくすると、キュイキュイが洞窟の外で切迫したように鳴いているのが聞こえた。


……なんだろう。



外に出てはいけない気がする。


突然、何の前触れもなくそう思った。