遠く離れた所から、がやがやと騒がしい音が聞こえてくる。


結界の中へと侵入しようと現れた魔物達を始末し、魔術師や剣士達が戻ってきたのだと、アヤトは悟った。

アヤトは目の前に広がる大きな水盆の中にちらっと視線を向けた後、その部屋を後にする。


「まだ…だめなのか。」


大広間に戻ると、思った通り魔物の討伐から戻った者達が集まっていた。


疲れを露にした者もいれば、この城で待機していた者達に討伐の瞬間のことを興奮気味に話している者、ただ目をつむりじっとしている者もいる。


がやがやとした騒音は今まで静かな空間にいたアヤトの耳をちくちくと刺した。