「綺麗ね〜。満月だけで育った月水晶ってこんなにも違うのね。父様がこんなもの隠し持ってたなんて、知らなかったわ。」

ダリアが月水晶を眺めながら、目を輝かせてうっとりとしている。


「うん、私もびっくりした。」

フィリシアはペンダントを手にとり、愛おしそうに眺めた。


「それがあれば、体調も維持出来るんだろ?良かったね。」


ユウもにこりとフィリシアに言った。


フィリシアがレガートとの話を終えて部屋に戻ってきてから間もなく、ダリアとユウが部屋にやってきた。


レガートとどのような話をしたのか、気になっていてもたってもいられなくなったのだろう。

「まぁ、魔法はあまり使わない方が良いみたいだけどね。でも良かった、こんなに身体が軽いの、久しぶりだから。」


そう言うと、フィリシアはそれまで腰掛けていたベッドにぼすんと倒れ込んだ。


じっと、天井を見つめる。


今までの体調不良が嘘のように、フィリシアの身体は軽かった。


月水晶の威力はすごいらしく、ペンダントを譲り受けるとすぐに、フィリシアの体調は以前のように戻った。


「良かった、フィリシアが元気になって。」


ダリアが独り言のように呟く。その表情はとても柔らかく、優しかった。


「クスッ…」


「何よ、ユウ。」


「いや?フィリシアも元気になったけど、お前も元気になったなって。ちょっと前までずっと暗い顔してただろ。」


にこにこと、ユウはどこか嬉しそうに笑った。


「そっそんなこと…ないもん…」


ダリアは真っ赤だった。だんだん語尾が小さくなっている。


「よほど、フィリシアが心配だったんだな。」