思わず見惚れてしまうほど、水晶は強く光輝いていた。


「月水晶。通常のものとは異なり満月の光のみで育った最も魔力の強い月水晶だ。


月から魔力を補うことが出来なくとも、この月水晶ならば君に魔力を与えられる。」


「どうして…」


太陽族に月水晶が?


「昔、月族の族長から譲り受けたものだ。」


レガートはそんなフィリシアの疑問を悟ったようにそう説明した。


「族長が?」


「何故かは私には詳しくわからない。けれども、これを一番必要とする者が現れた時に渡して欲しいと頼まれていた。


おそらく、一番必要とする者とは君のことだろう。


――――……最後に残った……瀕死の月族なのだから。」