ミシャの表情からは何も読み取れなかった。


ミシャはじっと、フィリシアを見つめているだけだ。


「率直に言おう。私はフィリシアが闇族と通じていると判断しない。」


レガートは皆にきっぱりとそう言い切った。


大広間の空気が一気にざわつく。


剣士達は互いに顔を見合わせて信じられないという顔をしていた。


「な、何故です!レガート様!」


自分の予想とは大きくかけ離れていたレガートの言葉に、中年の剣士は大きく狼狽えていた。

「先ほど、フィリシアが扉の前に立っていた時、サダ、お前はフィリシアがいることに気がついたか?」


レガートは剣士の質問には答えずに逆に質問を投げかけた。


「は…?い、いえ…」


サダと呼ばれた中年の剣士は語尾を小さくしながら答えた。


レガートの質問の意図がわからず、困惑した表情を見せている。


「ふふ、それが理由だ。」