レガートは真っ直ぐに扉を見つめていた。


大広間に集まった者達は驚き、一斉に後ろを振り返った。


自分達のすぐ後ろにいたにも関わらず、何の気配も感じ取れなかった。


剣士たちはそのことに動揺を隠せないでいた。


「フィリシア…」


アヤトが思わず呟く。


開かれた扉の前には、凛とした表情で真っ直ぐに台座を見つめるフィリシアが立っていた。


大広間の空気がさらにピンと鋭く張り詰める。


フィリシアはゆっくりと歩き始めた。


剣士たちはフィリシアをキツく睨みながら道をあける。


腰にある剣に手を置きながら、フィリシアが少しでも妙な行動をとったらすぐにでも斬ると言わんばかりだ。