アヤトがぽつりと言葉を発する。


「何か…言った?」


あまりにも小さい声だったため、フィリシアにはよく聞こえなかった。


アヤトはフィリシアに向き直ると、フィリシアの腕をグッと強く引き寄せ自身の胸へと抱き寄せた。


「ア、アヤト?」


突然のアヤトの行動に、フィリシアの心臓がうるさく音を立てる。


「…お願いだから、………消えるな。」


切なそうに、アヤトが言った。

それはとても小さな声だったが、フィリシアの耳には確実に届いた。





―――――アヤトは知っているのだろう。