「今の私は、きっとアヤトを手伝えない。」


フィリシアは俯き、ギュッとシーツを握りしめた。


その悔しそうなフィリシアの表情を見たアヤトは、戸惑いの色をみせる。


「フィリシア…」


そっと、アヤトは強くこぶしを握るフィリシアの手に自身の手を重ねた。


フィリシアは衝動的に俯いていた顔を上げ、アヤトと視線を合わせる。


「冷たいな……剣士とやり合ってる時も思った。


お前、魔力どうしたんだ?」


フィリシアははっとした。


見られていたんだ…


少し迷った後、フィリシアは話し始めた。


「月が闇に飲まれてしまった。」


フィリシアは悲しそうに瞳を歪めた。


「え?」


「月は光を返して光るでしょ?太陽みたく自分で光を放てない。


だから、アヤト達みたいに自分で魔力を維持出来ないから、月から魔力を補充しなくてはならなかったんだ。


だけど…月が闇に飲まれてそれが出来なくなった。


魔力が足りない私は…満足に身体を動かすこともできない。」