この空間へたどり着くことが出来たときの老婆のほっとした表情を見てやっと落ち着ける、二人でのんびりと過ごすことが出来ると思った。


空間はかなり広く、先を見ようとしても見えなかった。


一度、興味を引かれて奥へ奥へと行ったときに迷って自分で戻れなくなってしまったことがあった。


それ以来、奥へ行こうとは考えなかった。


老婆にがっつりと怒られてしまったせいもあった。


老婆からは様々な話を聞いた。

まだ幼い少女には理解出来ないこともあったが、それでも一生懸命に話す老婆の話を頭に叩き込もうと必死だった。


いつからか、フィリシアは一人になった。


ここへ来て数年、ある日の夜、老婆の身体が透けて見えることに気が付いた。


胸騒ぎがした。


たずねると、老婆は悲しそうに笑って言った。