「ミ…シャ…?」
フィリシアの声はか細く震えていた。
そこにいるのは、確実にミシャだった。
しかし一つ、異なっていることがあった。
ミシャの持つその気配だ。
「ミシャ……闇族なの?」
ミシャからは、いつもの太陽の気配が全く感じられなかった。
「ふふ、そうよ。私はこっちでは ミシャ・ラディア・クルー って言うの。
でもね…」
すっと、ミシャは碧の瞳を閉じる。
「私は ミシャ・クエント・デリス。
闇に生まれし者…」
ゆっくりと、ミシャが瞳を開く。
その瞳は闇の族長、ゼオと同じく禍々しいほどの深紅の光を放っていた。


