少し埃くさく、湿った空気が漂う静寂の中にフィリシアはいた。


もう何時間も立ち上がることも声を発することもなくじっとしている。


唯一響くのは、パラパラと紙を捲る音だけであった。

この城で、自分に出来ることはあるのだろうか。


好きに動いて良いと言われてもフィリシアにはパッと思いつくことがなかった。

どうしようかと、城内をうろうろとしている最中に、この書庫を見つけた。


見渡す限りの書物。


見上げても目に映るのはわずかな天井と書物である。

その広さと書物の数に圧倒されつつも、フィリシアは感激していた。