大広間を出たアヤトはユウの部屋に向かっていた。


足音がコツコツと響いている。

横に目をやると、丸い窓から外の様子が伺える。


城は結界で囲まれているため、魔物が窓から見えることはない。


強い風が吹いている。


耳を澄ませると風の音が聞こえた。


強いうねりをあげる風。


この城に住む人々の心の不安を煽るように、その音は不気味に響いていた。


しばらく歩くと、廊下の壁の造りが変化してきた。


ここからは、一人一人の部屋が配置されている。


床も大理石から絨毯へと変わり、足音は響かなくなった。


一定の間隔をあけてドアがある。


それぞれのドアの傍らには淡い光を放つ球が浮いている。


それがこれらのドアを開ける鍵となっているのだ。


その球の光のおかげで廊下は他に証明がなくともぼんやりと明るかった。


ここら辺りには南のリアスから避難してきた星族や以前からこの西のラディアに住んでいた太陽族達がいる。


さらに奥に進むと、突き当たりに金色に輝く光の柱がある。

アヤトはその柱の中へと入った。