「なん…で?」 口をぱくぱくしてその人を見ると、その人は照れたように顔を俯かせた。 「由姫ちゃんが、ここにいるって聞いたから。」 今、目の前にいるのは、紛れもなく岩崎くんで、今の状況で頭が回るほどうちは出来た人間じゃない。 未だに開いた口が塞がらない。 心臓が、うるさい。 カーテンが閉まっていて、まるで二人だけの空間。 うちがここにいるって聞いたからここに来たん? それはどういう意味? 嫌、いい方にしかとらえられへん。 やめてよ。期待する。