灰色の竜胆


「小声。出来るな?こーごーえ。」


相変わらず真っ暗な空間から
俺の口を塞ぐ手だけを覗かせて
そいつ は囁いた。


俺はただゆっくりと、数回頷く。
その動作を見ると そいつは暗闇からそっと抜け出した。


「よしよし。はい。いいコだ。」