「明日、お前、前だっけか」



「うん。この列の一番前に移動するだけ」



「それもそれで、つまんねぇもんだな」



「言われるとそうかも。工藤君は真ん中の列だっけ」



「ああ。しばらく、お前をいじめらんねぇのが淋しいな」



「なにそれー!」



でも…言われたらそうかも…工藤君が後ろじゃないんだ…。



「フッ…テスト開け楽しみにしてろ。いじめてやる」



私は勢い良く向き直った。



「おい、こっち向けよ。……ったく、またか。怒ってばっかじゃ、早死にすんぞ」



怒ってなんかない。
しぐさや笑い方、一つ一つにドキッとして顔が熱くなっただけ。


朱里が言ってた、小さな事でもキュン……よく解る。