「ゴメン!工藤君!木に見とれちゃって!待たせちゃってゴメンね!」



笑顔。

気分が幾ら落ちていても、仕事柄、笑う事には慣れている。

だから、簡単だ。



「木下さんがありがとうって言ってたよ!あっ!全部、食べたんだー!!だったら……ベビーカステラどう?」


「何、言われた」



………何も言われてはないけど、工藤君は本当に鋭い…。


ベビーカステラなんか目もくれず、ジッと私を見てくる。


でも、ここで怯んじゃいけない。



「え?何も言われてないよ?ただの世間話みたいなもんだよ!だから気にしないで!」


「嘘つくな。何を言われた」