「逃げんなよ」


「に・逃げてないよ…」


「たった今、逃げただろうが」



…顔、見れない…
でも、そんなに怒ってない気がする…。

私は思い切って顔を上げる事にした。



「…と・図書室に用事があったから。……あんな所見られたし…ゴメン…」



手首を掴んでた大きな手はポンと頭に乗る。



「俺から逃げれるとでも思ったか」


「ち・ちょっとね。これでもリレーに選ばれた事あって」


「ふーん……」



いたずらに笑い、ワシャワシャ乱暴に頭を撫でる工藤君。



「ちょっ!」


「フッ…本、借りるのか、返すのか」


「どっちもっ!!」



髪の毛を直しながら私は図書室へ向かった。