俺もその噂を頼りに、犬吠トンネルに向かった。

仲間数人とね。

最初は、警察さえ見つけられない遺体を発見して新聞社にでも連絡して、有名になろうなんて不謹慎な考えだった。

舗装すらされていない砂利道を、何時間もサスペンションのいかれた車で走り続けると、そこに古びたトンネルが現れた。

昼間だってのに、何だか薄暗くて肌寒さを感じるような場所だったね。

車を降りて、仲間と数人探してみたよ。

…確かにあった。

トンネルの奥の方に、黒く焦げた炭の残りみたいなのが。

だけど…。

警察が捜索に来ていない筈なのに、死体はなかった。

燃え尽きた?

馬鹿言うなよ。

人間一人が燃え尽きるのに、どれだけのガソリンがいると思ってんだ。

遺体が存在しないのはおかしかった。