何かって何なのよ…


不本意ながら、綺麗な顔立ちとこの色気に、胸がドキッと高鳴る。


ヤダもう!私、こんなガキに何でドキドキしてるんだか。


この学校の子は、先生にまでこんな誘惑まがいの素振りするワケ!?


思いっきり睨んでやると、彼は苦笑しながら


「冗談です」


って言って、扉の前から退いた。


廊下に足を踏み出し、チラッとこっちを振り返ると


「オレあんま人の名前覚えね~の。でもセンセーの名前は覚えたよ


オレと何となく似てるからね…ピンクと黒?」


意味の分からない事を残し、彼は私の前から去って行った。


あ…


さっきから何か変だと思った訳が分かった…。


あの子のあの、人を威圧する雰囲気、色気のある目元とやたら馴れ馴れしい感じ…。


似てない?


…似てるよね。





私は、つい先日出会った


愛斗くんを頭に思い浮かべた…。