少し歩くと、彼は部屋の鍵を開ける為に、カードキーを取り出した。


あぁ…部屋に入っちゃう!


「待って!」


私が声を掛けると、こっちをチラッと見た後慌てて扉を開けようとしている。


やっぱり、私だって気付いてたんだ~!


彼が部屋に入るギリギリに駆け寄り、服を掴んで引っ張った。


「待ちなさいっ!」


「な…んだよ、オバサン」


オ…バサン~!?


ムカムカくるけど…そんな事を怒ってる場合じゃない。


「ちょっと教えて欲しいんだけど。昨日…亜沙美ちゃんと一緒だったよね?一体なんであんなバカな事」


「うるせーなぁ。放せよ…」


掴んだ服を振り払われる。


「亜沙美ちゃんを助けたのって、若い男の人だった!?」


「…はぁ?」


彼の眉がピクリと動く。