「愛斗くん巻き貝を二つ拾って、これを私にくれたの。

でも、本当は亜沙美ちゃんに渡したかったんじゃないかな…。

…この貝の波の音は、愛斗くんと亜沙美ちゃんを繋いでるんだよ」


みうさんが、貝をそっと私の耳にあてる。


サワサワという音の向こうで…







愛斗の声が、


聞こえる気がした。










『亜沙美…』







『亜沙美、しっかりしろ!…大丈夫か!?』













あれ…









そうだ。









遠い意識の向こうで


見えた気がした


海の中の愛斗の顔。










…あれは、


幻なんかじゃなかったんだ。