な…。何だ?今の電話。


冷やかしか?


気味悪いな…。


オレは受話器を置き、急いでフロントへ戻った。


「おい、てめぇ。オレにどんな用事かちゃんと聞いてから取り次げ」


さっきオレの電話を取った、最近入ったばっかりの男性スタッフに詰め寄った。


フロントで会計をしていた客が、オレを見て目を剥く。


「やだ~、花柳さんたら。煙草吸えないからってイライラしちゃダメですよっ。ホラ、仕事に戻って下さい」


客の見送りを終えたばかりの舞が、オレの声を聞いてすっ飛んで来た。


そして耳元でこっそり


『花柳さんのワイルドさは、お店で出しちゃダメです。私の前だけで見せて下さい』


って囁く。