「やっぱ、オレ帰るわ。また明日なぁ。亜沙美」


手をヒラヒラと振り、朱兎は体育館を出て行った。


体育館の舞台裏に、秘密の喫煙ルームがある。


音響やライトの調整をしたりする部屋で、マジックミラーになってるから外から中の様子が見えないんだ。


しかもご丁寧な事に、窓も換気扇もあるから、好都合。


部屋に入ると、ほのかに煙草の匂いが残っていた。


…なんだ、朱兎はここから私の惨事を見てたんだ。


朱兎とは、春休み中に付き合い始めた。だから、今日のアイツも、まさか朱兎の女が私だとは知らなかったんだ。


知ってたら…手は出して来なかったハズ。。