体育館の中で、私は同級の男に待ち伏せされていた。


今日は始業式だけで、みんな午前中で帰ったハズ。誰もいないと思ったからここに来たのに…。


「ちょっ…とぉ、やめてよ」


「亜沙美(アサミ)オマエさぁ。オレらん事売っただろ。タバコ吸ってんのバレて、明日から謹慎一週間だとよ」


「そんなの知らないって!」


「…ザケんじゃねーよっ」


肩を力任せに押されよろけた体は、近くにあったステージへ登る為の階段に思いっきりぶつかった。


「うっ…」


今まで味わった事のない痛みが体に走る。


同時に男が階段を思いっきり蹴り、ドカッと物凄い音が辺りに響き渡った。


「バレてんだよ、テメーが先公と通じてんのなんか。新任の桜谷(サクラタニ)と昨日仲良く帰ってたろ?仲間が見てんだよっ。ほら言ってみろよ」


「帰ったのは事実だけど…アンタらの事は知らないってば。誰かが私を陥れようとしてんじゃないの?」


「知るか!うぜーんだよ。前からムカついてたんだよな…そのツラ。いい機会だから、学校来れねぇようにしてやろーか」