ん…


…あれ、ここどこだっけ。


私の隣で寝息をたて、綺麗な表情で眠る彼がいた。


あ…そっか。あの後、二人で体育館に移動したんだっけ…。


目を閉じ、少し開いた唇。横になる無防備な姿からは…


たまに見せる冷淡で残酷な表情なんて、全く想像できない位、朱兎は安らかな寝顔をしていた…。


「…寒っ」


体育館の例の煙草部屋は、先輩方が代々こういう使い方をしてきたのか、何かしら準備が良かった。


棚の中に、枕になるようなクッションや、マット、毛布まで揃っていた。


そんなに汚れてないし…朱兎に毛布かけてあげようか。