「あ…すいません。私、お先に失礼しまぁす」


オレらのやり取りを見ていた舞はすごすごと後退り、裏口の扉に手をかける。


「オイ、さっきのアレ…何なんだ?」


「いえ…またでいいでぇす。お疲れ様でしたっ!」


舞はそう言うとピューッと、足早に店を飛び出しオレらの目の前から消えた。


…何なんだ、アイツ。


目ぇ潤ませて…。


オレに今日行けつっときながら、やっぱり嫌だったんかな…。


あ…


いや、アイツはそんなタマじゃねーか…。


突然、オカンが後ろからオレのケツに膝蹴りする。


「ほら早くしな。今日は愛斗が車出して」


「何だオレが運転かよ…。呑めねぇじゃん」