ルミ子は早速、修二に電話した。

残った金など受け取れない、何なら、月子の給料に上乗せしてくれ、と修二は言った。

「修二さんに会えなくて、月ちゃん元気なくしてるの。もうカトレアも辞めていきそうな雰囲気なのよ。 月ちゃん励ますのは、どうやら修二さんしかいないみたい…どうか、元気つけてあげてくれないかしら……」

ルミ子は頼み込んだ。

どうすりゃいいんだ?

月子が落ち込んでるってか?

で、何で俺のせいなんだ?

たかが一人の客じゃないか、まぁ実際、売上的にはいい客だろうよ、が、それだけじゃないか。

俺を男として見てた?

そんな訳ないよな、あいつから、気のあるようなセリフなんぞ聞いた事もないし…ないから…口説けなかった。

惚れてくれてるとしたら、俺も、本当の自分を見せただろう。

一か八か勝負してたかも知れない。

どうなんだよ、月子?
惚れた男が、墨、背負ってたら、あんた、いったいどうするつもりだ?

真実見せて…拒否されんのが…一番怖いや…生き方、否定されたら、俺は生きていけない。

何処で飲もうが、どんな女抱こうが、観音さんはこの世に二人といない、お前、月子一人だけ…。