龍子は、事情を打ち明けた。

「ごめんなさい、私…実は皮膚病持ってて、ドレス着てのお仕事なんて出来そうにありません、無理です」

ルミ子は、ニッコリ微笑んだ。

「……そうだったの、大丈夫よ」

急きょ、ルミ子はクローゼットから、長袖のスーツを持ってきた。

膝から下の部分は、ファンデーションを濃いめに塗って隠し、その上からストッキングを履いた。

もう、これでわかる客はいないだろう。

聞けば、ルミ子もアトピー性皮膚炎を持病に持っていて、症状は龍子ほど悪くはなかったが、肌の病気においては同じ仲間。

龍子の哀しみを受け止める事が出来た。


こんな私でも…受け入れてくれる場所が…人がいたのね。

ルミ子ママの側で働こう。

生まれ変わった気持ちで頑張ってみよう。

龍子は、捨てた希望を拾い上げた。

どんな難病だって、いつかは…完治させる新薬…誰かが、この世に生み出すかも知れない。

ルミ子が…蟻地獄から龍子を拾い上げた。


夜空に煌々と輝く月をイメージして、クラブ カトレアに誕生した。

    源氏名
    月 子