あのエレベーターの出会いがなかったら、俺の運命は変わっていたのだろうか?

それともあまり代わり映えせずに、同じ類いのレールに乗っていた?

それはわからない。

ただ一つだけ言える事は…あいつに会い、俺の女性観は変わった。

月子は、俺に恋心を教えたたった一人の女。

カトレアがあったビルの前まで来た。

胸が高鳴る、胸が踊る、胸が騒ぐ。

が、俺は何も望んでない。

そっと…元気な姿見るだけ、それだけでいいんだ。

修二、カトレアに入って行くのか?

一目だけ拝まして頂くだけさ、観音さんを……。

が、果たしてカトレアに入って行けるだろうか?

きっと、月子を驚き慌てさせてしまうだろう。

修二はエレベーターに乗り込んだ。

5階で止まった。

そこは、運命の瞬間の場所だった。

修二が歩いて行った。

???カトレアは存在していなかった。

そこは、ホストラウンジ「Kキング」 に変わっていた。

胸の高鳴り…スイッチオフ。