「代谷」
「だっ、だから…あいつは……」
「いいかげん認めろよ。そうなんだろ? 俺にここまで話させておいてただの友達なんてナシだぞ。そんな言い訳が通用するほど俺はおまえとの付き合い、短いと思ってないからな」
のぞき込まれて、生唾を呑み込む。
おまえが勝手に話したんじゃないか、と言い返す余裕もない。
一緒のクラスになったことがないとはいえ、部活でともに苦難を乗り越え、ときに涙を流し、合宿中は同じ釜の飯を食った仲だ。三年間おなじクラスだったただの生徒よりずっと濃い時間を小野寺とは過ごしてきた。そのことは認める。
けれど……―――。
湧き上がる思いを、打ち明けたいと跳ね上がる鼓動を、喉元のあたりでせき止めるものがある。
「……小野寺はさ、好きになったからにはいつかは両想いになりたいとか、思う?」
「質問してるの俺なんだけど」
「思うか?」
「思う」
即答だった。
気持ちのいいほどに格好よく、すぱっと言われた。
「おまえは、思わないのか?」
「思う。思うけど……無理だと思う」
「……は?」
「俺には、どう考えたって高嶺(たかね)の花だし、いつも澄ましてて、俺がなにを言ったって動揺一つないし、まるで男として見てもらえてないようで…………」
……ほら……。
言葉にすると、また、涙が溢れてくるから、友の前では強がって耐えていたのに。
小野寺とは反対のほうへ首を捻って、顔が見えないようにする。こんなことをしなければならない自分を恥ずかしく思う。
代谷を、好きだと認め、好きだと貫き、好きだと思う自分を好きだと言えない。
こんな自分が、嫌になる。
落ち込む桐野に、鋭利な刃物のような言葉が突き刺された。
「なにみっともねぇこと言ってんだよ」
「だっ、だから…あいつは……」
「いいかげん認めろよ。そうなんだろ? 俺にここまで話させておいてただの友達なんてナシだぞ。そんな言い訳が通用するほど俺はおまえとの付き合い、短いと思ってないからな」
のぞき込まれて、生唾を呑み込む。
おまえが勝手に話したんじゃないか、と言い返す余裕もない。
一緒のクラスになったことがないとはいえ、部活でともに苦難を乗り越え、ときに涙を流し、合宿中は同じ釜の飯を食った仲だ。三年間おなじクラスだったただの生徒よりずっと濃い時間を小野寺とは過ごしてきた。そのことは認める。
けれど……―――。
湧き上がる思いを、打ち明けたいと跳ね上がる鼓動を、喉元のあたりでせき止めるものがある。
「……小野寺はさ、好きになったからにはいつかは両想いになりたいとか、思う?」
「質問してるの俺なんだけど」
「思うか?」
「思う」
即答だった。
気持ちのいいほどに格好よく、すぱっと言われた。
「おまえは、思わないのか?」
「思う。思うけど……無理だと思う」
「……は?」
「俺には、どう考えたって高嶺(たかね)の花だし、いつも澄ましてて、俺がなにを言ったって動揺一つないし、まるで男として見てもらえてないようで…………」
……ほら……。
言葉にすると、また、涙が溢れてくるから、友の前では強がって耐えていたのに。
小野寺とは反対のほうへ首を捻って、顔が見えないようにする。こんなことをしなければならない自分を恥ずかしく思う。
代谷を、好きだと認め、好きだと貫き、好きだと思う自分を好きだと言えない。
こんな自分が、嫌になる。
落ち込む桐野に、鋭利な刃物のような言葉が突き刺された。
「なにみっともねぇこと言ってんだよ」

