「合宿のとき、代谷が栗原を助けたんだよな、多分。そんときからよくくっついてるな」
「合宿? この前の勉強合宿のことか? あいつ、あんときもなんかあったのか」
「知らなかったのか。まぁ未遂で終わったみたいだから知ってるやつのほうが少ねぇかな。なんかな、あったらしいぞ。俺はその場にはいなかったけど」
「なにがあったんだ? まさかあの馬鹿、また、はめられそうになったのか」
「そのまさか、かな。けど、作戦は代谷によって失敗した、っていうのが俺の見立て」
「……どういうことだ? 代谷が栗原のために動いたっていうのか」
疑うのも無理はない。
同じ中学から上がってきた者ばかりが集う鈴森南高校。誰一人、率先して栗原を守ろうとするやつはいない。
「千紗、はわかるよな。あいつ、たしか同じ小学校だろ?」
「千紗? ああ、知希(ともき)の幼馴染みの」
「そうそう」
知希は千紗の幼稚園以来の幼馴染みらしい。
小学校から中学、高校とずっとクラスが同じで、授業のサッカーも一緒のチームになっている。
運動神経は悪くないわりに、中学からひたすら文化部を貫き通し、現在は廃部寸前の生物部で熱帯魚の水槽を前に日々爆睡しているとかなんとか。
「あのさぁ、全然栗原に関係ねぇんだけど、同じ小学校だから同じ中学だからって、全員の名前覚えてると思うなよ。一瞬、出てこなかったぜ」
「三、四クラス分の人数、覚えられなくてどうすんだよ」
「苦手なんだよ。正直、サッカー部の先輩も全員記憶してねぇ。一年がやっと」
「マジかよ」
「まぁいいやそれは。で、千紗がどうしたんだよ」
「千紗の財布が消えたんだよ」
「それが栗原のせいだって、言われたのか」
「そこまでは、俺にはわかんねぇ。けど、俺はそれらしい会話があったんじゃねぇかと思ってる」
隣でため息。
「だろうな……また、はめられそうになったんだぜ、あいつ。ったく、誰だよそういうくだらねぇこと考える馬鹿。おまえのクラスのヤツか」
「俺と、文弥、琢斗以外のメンバーと、隣の班のやつらのうちの誰かだろうな」
文弥、琢斗も栗原のことを好いてはいないが、直接的ないじめからは遠ざかる傍観者タイプだ。
小野寺は舌を打った。
「合宿? この前の勉強合宿のことか? あいつ、あんときもなんかあったのか」
「知らなかったのか。まぁ未遂で終わったみたいだから知ってるやつのほうが少ねぇかな。なんかな、あったらしいぞ。俺はその場にはいなかったけど」
「なにがあったんだ? まさかあの馬鹿、また、はめられそうになったのか」
「そのまさか、かな。けど、作戦は代谷によって失敗した、っていうのが俺の見立て」
「……どういうことだ? 代谷が栗原のために動いたっていうのか」
疑うのも無理はない。
同じ中学から上がってきた者ばかりが集う鈴森南高校。誰一人、率先して栗原を守ろうとするやつはいない。
「千紗、はわかるよな。あいつ、たしか同じ小学校だろ?」
「千紗? ああ、知希(ともき)の幼馴染みの」
「そうそう」
知希は千紗の幼稚園以来の幼馴染みらしい。
小学校から中学、高校とずっとクラスが同じで、授業のサッカーも一緒のチームになっている。
運動神経は悪くないわりに、中学からひたすら文化部を貫き通し、現在は廃部寸前の生物部で熱帯魚の水槽を前に日々爆睡しているとかなんとか。
「あのさぁ、全然栗原に関係ねぇんだけど、同じ小学校だから同じ中学だからって、全員の名前覚えてると思うなよ。一瞬、出てこなかったぜ」
「三、四クラス分の人数、覚えられなくてどうすんだよ」
「苦手なんだよ。正直、サッカー部の先輩も全員記憶してねぇ。一年がやっと」
「マジかよ」
「まぁいいやそれは。で、千紗がどうしたんだよ」
「千紗の財布が消えたんだよ」
「それが栗原のせいだって、言われたのか」
「そこまでは、俺にはわかんねぇ。けど、俺はそれらしい会話があったんじゃねぇかと思ってる」
隣でため息。
「だろうな……また、はめられそうになったんだぜ、あいつ。ったく、誰だよそういうくだらねぇこと考える馬鹿。おまえのクラスのヤツか」
「俺と、文弥、琢斗以外のメンバーと、隣の班のやつらのうちの誰かだろうな」
文弥、琢斗も栗原のことを好いてはいないが、直接的ないじめからは遠ざかる傍観者タイプだ。
小野寺は舌を打った。

