キミは聞こえる

 そういう性格なのだ。

 強く物を言えるタイプでないことも、教師を頼って後から報復されるくらいなら黙っている道を選ぶことも、小学校以来の付き合いで知っている。

 小野寺は、栗原のその善し悪しな性格が気に食わなく、また、好いているらしい。

「小野寺、栗原と同じクラスになったことあんだっけ?」

 小野寺が出会うとすれば中学からである。いつ知り合いになったのだろう。

「中二から同じクラスだった」
「そうなんだ」
「もともとクラスでも目立つ方じゃなかったが、それでも、それなりにうまくやってただろ、中二までは」
「……おかしくなったのは林間学校からだもんな」
「ああ。周りから露骨に避けられてんのに文句も泣き言の一つも言わないで学校来ただろ? 信じられなくて。俺、そんなあいつが大っ嫌いだった」

 なにもそこまで力を入れて言わなくてもいいだろうに。惚れているからとはいえ、なにを言っても許されるとは思えないのだが。

 好きだけど嫌いだと、矛盾しまくっているはずなのに、小野寺の言葉は妙に説得力があって苦笑せずにはいられない。

「そこ、ふつうは尊敬するとこじゃねーの」
「そんときは尊敬より馬鹿じゃねぇのこいつ、って思ってる方が断然強かった」
「不思議なもんだな。そこまで嫌っててマジになるなんてのも」
「ほんとだよな。たいして顔がいいわけでもねぇし、性格あんなんだし、これっていう決めポイントもないのになぁって俺も思う」

 ……ほんと、言いたい放題だな。

「小野寺って、面食いだっけ?」
「いや、そういう自覚はねぇな。別にアイドルに興味もねぇし」
「そんな気がした」
「その点、代谷ってヤツはけっこう美人じゃん? クラスの男子が胸もあるよなとかなんとかほざきながら連絡先知ってるやつ探しまくってるぜ。噂では携帯もってないらしいけど、嘘だよな。おまえは知ってるんだろ?」

 桐野の目が大きく見開かれる。