キミは聞こえる

 一番に報せたいのは栗原だと言い切っておいて、いきなりなんてことを言うのだ。ぶっちゃけるの度合が度を超してる気がする。

「は、はぁ……。それがどうして好意に変わったんでしょうか」
「俺にもよくわかんねー。でも、好きって気づいたのは最近だぜ。ほんと、ここ最近」
「わかんねーって、そんなテキトーな……」
「強いて言うなら、誰も憎まねぇから、かな」

 ああ、そこなら俺もわからなくはないかな、と頷いていると、

「そこが一番嫌いだったんだけどな」

 と小野寺はまたしてもとんでもないことをぶっちゃけた。

「ちょ、ちょ、ちょっと待て、な。待て。俺、あんま着いて行けてねぇんだけど」
「だから俺もよくわかんねぇんだって。好きってことはわかってんのにさ、どうして嫌いだったヤツが気になってしょうがなくなったのかはいまだによくわかんねぇ」

 ひとしきり首を振って、小野寺はまたしても笑った。自分の言ってることが心底可笑しいように。

「嫌い嫌い言い過ぎてるうちに、それがかえって好きって感情に変わっちゃった、ってか?」

 代谷がそのようなことを言っていた。

 否定はしていたけれど、憎く思い続けているうちにそれがいつしか好意になっていて、気づけば目で追いかけているなんて、ない話じゃない。

「そう、なのかな。……やっぱ、わかんねぇや。憎まないって、その人の良さでもあるけど、見てるほうからすれば腹立たしく思うときもあるだろ。わかるか?」
「なんで憎まねぇんだよって、か? まぁ栗原は言い返しも、センコーにちくりもしないやつだからな」