キミは聞こえる

「どんな方なの、新しいお母さんは」

 どんな。……どんなだろう。考える。
 性格は、知らない。

 浮かんだ容姿だけで、答えをひねり出す。

「すごい、美人です。スタイルも、よくて」

 とそこで、ああそうだ、と思い出す。
 一番、重要なこと。

「若いです」
「ちなみにおいくつ?」
「今年で二六だと言ってました」

 全員の箸が止まった。桐野、康士にいたっては若干噴き出しもしていた。
 よほどの衝撃だろう。

 まぁ父に紹介された瞬間の泉本人の驚きとは比べようもないだろうけれど。

 あのとき。
 父が初めて継母の聖華(きよか)を連れてきた晩、声がでなかった。
 目眩を覚えた。夢かと思った。

「十歳差じゃん!」
「そう。びっくりだよね」

 ややむせながら桐野が言う。
 今となっては慣れたものだ。代谷の家に報告をしたときも同じリアクションをもらった。なんということもない。
 落ち着いて、だよね、と返す。

「すこし歳の離れた姉妹だな」
「若いの想像をはるかに超えてるって!」

 さすが悠士の突っ込みは冷静だ。
 うん、たしかに。私もそう思った。
 
 いまでも母とは思えない。
 他人だから無理というものとはまたべつの話で、年齢的に受け付けがたい思いがある。二十五を過ぎてもシミシワ一つもない若々しさでおはようと言われても、いつも挨拶を返す一歩手前で躊躇う。

 多分、二十五歳の中でも彼女は若い容姿を保っているほうだと思う。だからこそ余計に難しいのだ。

 そんな彼女もいまははるか異国にいる。
 慣れない生活ですこしは老けただろうか。

「藤吾君と一緒に?」
「はい。向こうで生活してます」
「結婚される前まではなにを?」
「さぁ……そこまでは」

 ふたたび笑って誤魔化す。