キミは聞こえる


「そういえば、写真部、応援サッカーになったんだってな。さぼんなよ」

 花弁が散り、青々とした葉が木々を埋め尽くす。最盛期を迎えたさくらんぼにはすべてビニールがかぶせられている。降雨による影響の回避、鳥避けなどの意味があるらしい。

 夕陽を背に受けながら、二人は並んで帰路を進んでいた。
 以前にも、このようにして帰ったことがあったな、と思い出す。

「………そこは、ちゃんと応援しろよな、じゃないの?」
「来なきゃあ応援もなにもないだろうが。代谷の場合、来るかどうかも怪しいからな」
「うわ、失礼」
「ラクロスじゃなくて残念だったな」
「聞いてたんだ」
「響子の声はでかいからな」
「言いつけてやろ」
「嘘だよ嘘! 冗談だって」
「県大会、行くの?」
「……どういう質問だよ。そりゃあ行けるなら行きてぇよ」
「そういうときは、行くに決まってんだろって返すのが男らしいんじゃないの」
「もちろん狙ってはいるけどな、あんまりでかいこと言って幻滅させるのは格好悪ぃじゃん? 口ばっかかよって、思うだろ」

 まぁ、それはたしかにそうだが。
 とは思ったものの、口に出していいことでないことくらいわかる。

「いいんじゃない、口ばっかりでも。私が言うかよって感じだけど、何事もやる気が肝心ですから」

 桐野は二拍ほど間を置いて、それから小さく噴き出した。

「ほんと、おまえが言うかよ。代谷にやる気を語られてもなぁ」
「どうせ私は人よりやる気が三分の一だからね」

 説得力がなくて悪うござんしたよ、けっ。

 ふてくされて、ちょうどよく足元にあった石ころを蹴りつける。
 いくつもの角がある石はとんとんと、あっちへ飛んではこっちへ飛んでと、決して一直線には進まない。