どこまでを話せばよいか、話してもよいか、すこしばかり考えた。
だが、結局は名前を伏せて、知っていることをすべて打ち明けることにした。設楽の言うことはもっともだし、彼以外に力のことで相談できる相手もいない。
「病院に入院してる子なの。病名とか、どこが悪いとか、なにが原因で入院してるのかは知らない。ただ、少し気になって、近づいてみた。そしたら、看護師にもちっとも反応しないし、ただ黙ってぼんやりどこかを見てるだけで……」
「なにひとつ言葉を拾うことは出来なかったと、そういうことだね?」
泉は頷いた。
「心を読もうとしたけど、まるでなにも聞こえてこなかった。月も風もない夜の海みたいに、怖いくらいに静まりかえってた。こんな経験はじめてだったけど、きっと、あんたの言う爆睡の状態とか、ぼんやりしているときの一時の心の眠りとは違うと思う。……こんなことって、あるの?」
腕組みをしたまま設楽は眉を寄せ、うーんと唸った。
コップを傾け、麦茶を一口含む。ざらついた口内を潤いが優しく浄化していく。
けれど、しこりのように残っている不安感までは流し去ってくれなかった。
翔吾の横顔を思い浮かべるだけで胸が詰まる。
ずっと、誰かに似ていると思っていた。
それが過去の同級生、二嶋理那だと気づいたのはつい昨日のことである。
だが、結局は名前を伏せて、知っていることをすべて打ち明けることにした。設楽の言うことはもっともだし、彼以外に力のことで相談できる相手もいない。
「病院に入院してる子なの。病名とか、どこが悪いとか、なにが原因で入院してるのかは知らない。ただ、少し気になって、近づいてみた。そしたら、看護師にもちっとも反応しないし、ただ黙ってぼんやりどこかを見てるだけで……」
「なにひとつ言葉を拾うことは出来なかったと、そういうことだね?」
泉は頷いた。
「心を読もうとしたけど、まるでなにも聞こえてこなかった。月も風もない夜の海みたいに、怖いくらいに静まりかえってた。こんな経験はじめてだったけど、きっと、あんたの言う爆睡の状態とか、ぼんやりしているときの一時の心の眠りとは違うと思う。……こんなことって、あるの?」
腕組みをしたまま設楽は眉を寄せ、うーんと唸った。
コップを傾け、麦茶を一口含む。ざらついた口内を潤いが優しく浄化していく。
けれど、しこりのように残っている不安感までは流し去ってくれなかった。
翔吾の横顔を思い浮かべるだけで胸が詰まる。
ずっと、誰かに似ていると思っていた。
それが過去の同級生、二嶋理那だと気づいたのはつい昨日のことである。

