「そんなに思いっきり顔歪めないでよ。さすがの俺も悲しいじゃん」
悲しいなら悲しいなりの表情をしろよ、と思う。ちっとも切なげじゃない終始愉快そうな顔に反吐が出る。
「なんで、あんたが……」
「なんでってそりゃあ俺がここまで運んだんだし。あ、ここわかる? 保健室だよ」
いっぺん絞めたろかい、と喉元まで出かかった。
「それくらいわかってる。……あんたが私を運んだって……マジ?」
近くにあった四脚椅子を引き、設楽は腰を下ろした。許可なくそばに寄るなよ、と思った。
「マジマジ。お姫様だっこして運んだんだよ。代谷サンって見た目のまま、軽いんだね」
「どうしてまだここにいるの」
「不満?」
「そりゃあもう」
「保健室の先生が用事が出来たからここ空けるって言うんで、なら俺がって代わりを申し出た」
「あんたを残すことに先生がすんなり了承したの」
「しなかった。そりゃあ年頃の男女を一室に二人きりにしていくのは気が引けるみたいで。だけどチャイムが鳴ったとき、先生、千紗たちを教室に追いかえしちゃったんだよね。代わりの先生も職員室に残ってなくてさ。人生ってこんなもんだよなぁって思うよね。こういうときに限って全員どこかしらの授業担当に割り当てられてるんだ。ついでに言うと、事務の人も校長も理事長もみーんな外出中なんだって」
溜息が出る。
一人くらい電話番を置いていけよ。
「……だから、あんた?」
悲しいなら悲しいなりの表情をしろよ、と思う。ちっとも切なげじゃない終始愉快そうな顔に反吐が出る。
「なんで、あんたが……」
「なんでってそりゃあ俺がここまで運んだんだし。あ、ここわかる? 保健室だよ」
いっぺん絞めたろかい、と喉元まで出かかった。
「それくらいわかってる。……あんたが私を運んだって……マジ?」
近くにあった四脚椅子を引き、設楽は腰を下ろした。許可なくそばに寄るなよ、と思った。
「マジマジ。お姫様だっこして運んだんだよ。代谷サンって見た目のまま、軽いんだね」
「どうしてまだここにいるの」
「不満?」
「そりゃあもう」
「保健室の先生が用事が出来たからここ空けるって言うんで、なら俺がって代わりを申し出た」
「あんたを残すことに先生がすんなり了承したの」
「しなかった。そりゃあ年頃の男女を一室に二人きりにしていくのは気が引けるみたいで。だけどチャイムが鳴ったとき、先生、千紗たちを教室に追いかえしちゃったんだよね。代わりの先生も職員室に残ってなくてさ。人生ってこんなもんだよなぁって思うよね。こういうときに限って全員どこかしらの授業担当に割り当てられてるんだ。ついでに言うと、事務の人も校長も理事長もみーんな外出中なんだって」
溜息が出る。
一人くらい電話番を置いていけよ。
「……だから、あんた?」

